Next Commons Lab南三陸

「エナジーフォレスト2〜眠れる森の美女〜」プロジェクトで心身ともに健康で活き活きとした社会を創出する

Next Commons Lab南三陸では「エナジーフォレスト森の力を活かしきる2」として、杉から抽出される天然の精油や有効成分を活用し、プロダクトやサービスの開発・事業を展開する企画プロデューサーを募集しています。

今回はプロジェクトパートナーである合同会社MMR代表の佐藤太一さんと、東北医科薬科大学薬学部生薬学教室教授の佐々木健郎さんのお二人にこのプロジェクトの社会的インパクトや将来性についてお話を伺います。

エナジーフォレスト2は、南三陸の森にある杉から抽出される天然の成分を活用して事業を起こすプロジェクトですが、このプロジェクトが社会に与えるインパクトについてはどう思われますか?

佐藤さん:そうですね、南三陸には放置された山がたくさんあるんですけども。これは南三陸だけでなく、日本全体にも言えることで。この手入れがされていない山の木を使うとなると、建材としては売れない大量の廃材がでてきます。杉は特に多いんです。
そのため、こういった木材の新しい活用法をいま日本の林業は模索し始めています。その活用法を考え始めたことが、このエナジーフォレスト2の立ち上げのきっかけになりました。

でも、杉というのはどこにでもある。ですので、それをどうやって付加価値のある商品として開発していくか?という点がとても重要で。例えば、 ちょっと素敵な使い方というか、一般の方々の日常生活に溶け込んだ形での杉の使い方を提案していきたいと考えています。

実は南三陸の山林は、伊達政宗の時代から知る人ぞ知る杉の産地として有名で、南三陸杉ブランドと呼ばれています。仙台の広瀬川にかかる大橋や仙台箪笥という最高級の家具にも昔から使われいてとても長い歴史があるんです。これを特化ブランドとして外へ出していきたいという気持ちが、私の前の世代からありました。でも、震災により一度ストップしてしまった。それをもう一度挑戦したいという想いもこのプロジェクトには込められています。

これまで廃材としていたものを付加価値のある商品として生まれ変わらせ、木材そのものの値段を上げることに繋げる。現在、日本全国で課題になっている林地残材や木材安価という点に対して、南三陸らしいアプローチ法で解決をしていければと思っています。

これを実現することができれば、林業としても新しい試みになりますし、放置林という問題にも直接的な解決案になっていくと思いますので、そういった意味で社会的インパクトがあるのかなと考えています。

佐々木教授:今回お話を頂いだいたときに、森の力を活かしきりたいという話を伺いました。私としては、木材としてそれを使って行くことの他にも、なにか利用価値があるのではないかと感じたんです。 そこで、森というのはどんな力があるのかというのをもう一度自分で考えてみました。

その際に発想として浮かんできたのは 、森は現代の人が見過ごしている感覚、直接身体に訴えかけてくる、五感に働きかけるものを持っているのではないかということでした。私は薬用植物とか漢方薬を専門として大学で教えているんですが、森の力を活かしきることで、そういう部分を取り戻せるのではないかと考えたんです。

漢方には「心身一如」という、心と体は一つに繋がっているという考え方があります。ある臓器対して薬物治療を行うのではなく、心身の両方をみながら治療をするのです。

現代社会では、情報処理をする脳の活用にばかり注力をしていて、それにより世の中を機能させているようにみえる。しかし、人には身体感覚というものも大切なはずです。例えば森の中にいくと、なにかものすごく大切な感覚が呼び起こされてくるように感じるとか、スポーツをした後の身体が研ぎ澄まされる感覚とか、そういったことは誰でも感じたことがあると思うんです。私は剣道をしているのですが、稽古による身体感覚というのは、脳や身体、生活習慣にとてもよい作用を起こしてくれるというのを実感しています。

そういう感覚という部分に直接働きかけてきて、人間本来の部分を呼び起こすための非常に重要なパワーを持っているのが森なんじゃないか、と私は考えています。森林の植物成分は「ファイトケミカル」と呼ばれるますが、薬用植物で知られるように生物活性作用があります。そういったものを活かすことで、現代で忘れ去られた感覚を呼び起こすきっかけを作ることができるんじゃないかと考えたのです。

エナジーフォレスト2では、杉の有効成分を利用しさまざまなプロダクトやサービスを開発すると伺いました。具体的にはどのような方向性をもってプロジェクトを進めていこうとお考えですか?

佐々木教授:私たちは今回のプロジェクトを「眠れる森の美女 プロジェクト」と呼んでいます。なぜかというとこの物語の主人公は、森の中だからこそ100年もの間眠り続けることができて、美女になることができたのではないかというふうに考えているからです。

これはナンセンスなおとぎ話だという風に言われるかもしれないんですが(笑)。 でも、このおとぎ話をヒントにして考えることで、 森の成分を生かした開発を行っていけるのではないかと思いました。森にはどんな力があるのか?そういった発想を眠れる森の美女のストーリーから持ってくる。

これまでの研究報告でも、杉には神経系に作用する成分があると学術的にも報告されていて、それがアロマセラピーなどに繋がっています。

ただそういった専門分野に関しては、すでに色々な研究や商品が発表されているので、その観点で開発を行っていくと、Next Commons Lab・持続可能性・将来性という部分では行き詰まりが出てくるのではないかと考えているのです。ですので、今回はそれ以外の方向性をもってこのプロジェクトを進めていきたいと考えています。

セスキテルペンという香りの成分を活用せずに、違うアイデアで開発を試みようと。眠れる森の美女を作る根拠となっている健康に寄与する成分に注目して、新しいプロダクトやサービスを展開していきたいと思っています。

自律神経系やストレス、または腸内環境を整えることによって、脳の活性化も起こせるようになるという腸内フローラや腸脳相関の成分と結びつけて研究サイドで証明しつつ、新しいプロダクトを作っていきたいです。

佐藤さん:それからもう一つ。南三陸の新しい街づくりの中でも「研究者とのコラボレーションにより新しい産業を作っていく」ということが私たちの目指す姿でもあるので、それを佐々木教授と一緒に実現していきたいと思っています。

Next Commons Labを通して来ていただいたパートナーさんとも協議し合いながら、メインストリームの部分を意識しつつ、 様々な方面に可能性を広げていきたいです。杉の機能や成分を活用してプロダクトやサービスを展開し、それをシリーズ化していく。それを全国や海外へ広げていきたいですね。

将来的にはこのプロジェクトから日本初または世界初のプロダクトやサービスが生まれる可能性も高いと?

佐々木教授:そうですね。その部分を狙っています。そうじゃないと、大きな資本のあるとこには勝てないと思いますから。

佐藤さん:難しいですけども、佐々木教授のような研究者の方と協力してそれに挑戦していきたいと思っています。このプロジェクトは3年が一つの区切りになっているんですが、その期間で先ずは一つでも実現できればいいなと考えています。今日も色々なアイデアが雑談の中から出てきたんですけど、そういうものを実現化していきたいと思ってるので楽しみにしていてください 。

最後に、エナジーフォレスト2では、現在企画プロデューサーを募集しています。合同会社MMRと東北医科薬科大学はすでに共同研究契約を締結しているとのことですが、お二人の協力体制についてや、一緒に事業展開をしてほしい人物像、メッセージなどを伺わせてください。

佐藤さん:このプロジェクトでは、メインストリームである「眠れる森の美女」というテーマを根底に持ちつつ、あえてゴールは決めずに、さまざまな可能性が生まれるようなアクションを起こしていきたいと考えています。ですので、全く別分野の人が来ていただいても良いなと思っているんです。僕らの生活や職業と正反対のものを持っている人が来てくれても面白いかもしれない。

佐々木教授:そうですね。とにかく、どんどん色んなアイデアを出してくれるアイデアマン。そして、それを実行してたくさんの人と協力していける行動力。そういうものを持っている人に来ていただけると嬉しいなと思っています。専門的な知識はいりません。それよりも、好奇心旺盛で人が好きな方に来ていただきたいと思っています。いろんな感覚を持っている人が良いなと。

佐藤さん:協力体制としては、研究責任に関しては私の会社が、効能などの科学的な点に関しては佐々木教授が全面的にサポートしてくれるので、実質的な形で私たち二人と協働しながら行っていくことになります。常に3人で連携をとってプロジェクトの実現を目指すイメージです。みんなで練り上げたアイデアや研究結果をもって、戦略などを考えアクションを起こす。このプロジェクトをまさにプロデュースしてくれたらと思っています。

佐々木教授:アンチエイジングは女性だけのものではありません。テーマとしては美女と言っていますが、美女とは何なのか?と考えたときに、いわゆる健康であることこそが美女であると思っています。それは男性にも必要なこと。ストレスや不眠、メタボというような問題を抱えていると人は老化も進んでしまいます。ナチュラルな美しさ、身体の中から健康になるということを助けたいということに関心のある人を歓迎します。

佐藤さん:これを機に僕も健康になりたいと思っているので(笑)。

佐々木教授:内面を健康にするということは、活き活きと若々しく歳を重ねるということです。アンチエイジングはそこに直結していると思っています。森林が持つ効能(血圧の調整・糖尿病・メタボ改善など)を活かして医薬品ということではなく、ヘルスケア製品や化粧品、保健衛生用品などを作っていきたいですね。

佐藤さん:そうですね。日常生活で必要な用品に取り入れることで、持続可能なアンチエイジングや健康に繋がるものを開発したいですね。

佐々木教授:免疫機能や自律神経機能。そういったところにも働きかけるようなプロダクトやサービスを森の力を借りて作り出せないかなぁと考えています。新しいものを生むっていうのはとても難しいことなんですけども…

佐藤さん:わくわくしますよね!

佐々木教授:しますよね。このわくわく感というか元気が出るということが、このプロジェクトでは絶対に必要な価値観であると思っています。プロセスを楽しむ!

『眠れる森の美女』なんて言ったらね、学生にも最初は笑われたんですけど(笑)。でもそういう風に夢があってわくわくすることじゃないと人は動かないですから。万が一、この壮大なテーマが達成できずにゴールにたどり着けなくても構わない。もちろん、そんなことは起こらないようにしますが(苦笑)。

ゴールを決めずに、そこから生まれる持続可能なプロセスとわくわくした人が集まってくれる循環。それが森を育てることにも繋がっていく。そういう風にしていくことで、南三陸のことをみんなが考えてくれるきっかけになったらいいんじゃないかなと思っています。

(文・編集=佐々木久枝 宮城県出身・海外在住 2011年より執筆・編集・取材・翻訳に携わる。英仏話者。今後ますます多様化していく生き方・働き方に興味がありライターとして関わった情報が人々の役に立ってほしいという思いで執筆・編集に取り組んでいる。)