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2017/09/21

インターン生「ヨーナ」がウラから覗いたNCL遠野

01『はじめまして!ヨーナです。裸のNCL遠野を伝えます』

はじめまして!ネクストコモンズラボ遠野(以下NCL遠野)でインターンをしていたヨーナです。
去年の11月、ラボが立ち上がってすぐ遠野に引っ越しをして、10か月間暮らし、学び、活動をしていました。こうしてただの大学生が筆を執っているのは、なかなか伝えられていないNCL遠野の素の姿を伝えたいと思ったからです。だって大人は身なりを綺麗に整えて会話をしなければならないことがよーくありますから。一張羅も普段着も脱ぎ捨てて、素っ裸のNCL遠野を伝えたいと思います!

 

02『NCLって何?そもそもNCLとは』

まず、NCLとはいったい何なのか、ということをご説明したいと思います。
超絶カンタンに言うと、「プロジェクト(起業の材料)を企画し実践する。分野を越えてコラボレーションする。暮らしたい社会を創っていく。」そんなコミュニティです。

NCLは現在、全国に4拠点(2017年度中に8拠点)あり、NCL遠野には10のプロジェクトがあります。ビールの醸造場をつくるプロジェクトもあれば、多世代がいかに交流できるかを考えるプロジェクトもあり、テクノロジーを駆使してすでにある価値を可視化するプロジェクトもあります。各プロジェクトに1~2人のメンバー(以下ラボメンバー)が集い、それぞれの意思をもってプロジェクトを進めていきます。それと同時に、プロジェクトを越えて、さらにはNCLコミュニティも地域も越えて、私たちが暮らしたい社会についてディスカッションし、その実現を目指しています。

プロジェクトの詳しい内容はこちらの記事をご覧ください。 → 『Next Commons Lab 遠野、はじまります』

もちろん、これは一筋縄ではいかないです。NCLは『ポスト資本主義社会の具現化』を謳っていますが、市場経済主義的思考や制度に縛れることは多々あります。だからこそ、もがきながら、変化し続けています。

03『NCL遠野 事務局メンバーの紹介』

そんなNCL遠野を立ち上げたのが事務局に所属する人たちです。私はこの事務局にインターンをしていました。せっかくなので6名のユニークなメンバーを簡単に紹介したいと思います。

林篤志さん NCL構想を思いついた人。NCL全体の代表です。全国各地いろんなところを飛び回り、多くの人に会い、いろんな情報を得て、地方の気配を肌で感じて、日々アイデアがアップデートされているので、この事務局メンバーの理解力がなければ彼は孤立してしまうんじゃないかと思います(笑)でも、そのアイデアが興奮するほど面白い。娘をひとりもつ父でもあります。

田村淳一さん NCLは大きな目標の実現のために、つい前向きな議論だけを連ねがちですが、理想と現実のギャップを的確に見定めてくれるのがこのタムさんです。常に最悪のケースを想定しながらも、「まずはやる」という実行力のある努力家です。どこの馬の骨かわからない私に自主企画を勧めてくれたのもタムさんだったなあ。祭りや飲み会ではいつも盛り上げてくれます。

室井舞花さん 元ピースボートスタッフで地球を6周しているからなのか、自身がマイノリティー関係の活動をしているからなのか、全体を見る力と細かいフォローが抜群で、かみ合わない話し合いの通訳をよくしています。常に、社会はどうあるべきかを意識していて、NCLの機能を使うことで、いかに生きやすい社会をつくれるかを考えています。たしかにNCLは目的ではなく手段でしかないと思います。

レナータ・ピアッツアさん スペインから移住してきたイタリア人です。彼女の強味は人とのつながりと自由な発想です。国内外問わずさまざまな地域を訪れている彼女は、世界中に仲間とアイデアの種を持ち、ものごとを動かすチームを容易に組むことができます。「す~ぐお金のことになっちゃうんですね」というのが口癖で、何を大切にするのか見落としてしまいそうなときに議論を止めてくれます。とんとんで進まないミーティングだからこそ、意味があるような気がしていました。3人の子どもと暮らしています。

家冨万里さん 親不孝通りという遠野駅前の通りでスナックのママもしています。『トマトとぶ』という不思議な名前の店です。そのチャーミングさと話しやすさから、「家冨ちゃん、家冨ちゃん」とみんなから慕われています。万里さんが持っている特性は社会ではなかなか評価されないことが多いと思います。実務をこなすことは苦手だし、忘れっぽいし(笑)。でも、万里さんがいるから、NCLは地域とつながり、おっちゃんたちから貴重な情報を得て、事務局定例ミーティングだって面白おかしくできています。その特性を認め、生かすことができるチームは最高だと思います。

富川岳さん 岳さんはもともと事務局メンバーでしたが、自分がやりたいことを突き詰めるためにスピンアウトし、現在はラボメンバーとして活動しています。
ローカルプロダクション事業をはじめる前、岳さんがとても悩んでいたのを思い出します。周囲からは「技術も経験も浅いのに本当に大丈夫か」と心配されていました。けれども、大きな会社を辞めてまで何のためにNCLに来たのかを問うたとき、自分がこれだと思うことを突き通す以外、選択しはなかったと言っていました。スピンアウトして半年以上たちましたが、今の岳さんに技術が浅いだの、やっていけるかだの、言える人はいないと思います。

04『NCL遠野コミュニティの素顔』

ラボメンバーは全部で11人います。

ラボメンバーの半分以上はシェアハウスに住んでいて、私も3人のラボメンバーと一軒家で暮らしていました。訳あって、その家はこたつハウスと呼ばれています。こたつハウスには特にルールはなく、気づいた人が掃除やゴミ出しをするので、もちろん散らかることもありました(笑)。月に2、3回はお好み焼きパーティーやパクチーの会をしたり、呑みながらNCL遠野について語ることもありました。当然、愚痴や不安もありますが、それらをゲロっと吐き出して、ものごとを前に進めるパワーを自分たちでつくれているというのは、いま思うとすごいことだと思います。

他にもギターを携えてコーヒー豆を挽き、「(自分の部屋に)いつでもどうぞ」と行ってくれる醸造家の太田さんや、『おちょうの部屋』と題して夜ごはん会を開催してくれる藤田さん(おちょうさんと呼ばれています)もいます。実はNCL遠野の女子だけの秘密のSNSグループがあって、たまにごはん会もしています。女子会と来たら、それはもう(自主規制)。。。

05『繰り返される対話、ビジョン形成のプロセス』

NCL遠野で何をしているのかと聞かれると、試行錯誤動きながらですが、対話をすることが多いなと思います。事務局では週に一度のペースで定例ミーティングをしています。時には一日がかりのミーティングもあります。「どんな働き方をしたいのか」「メンバー同士でどのようにコミュケーションを図るべきか」「いかに資金調達するか」など、本質を突いたテーマを話し合います。だからこそ、話がかみ合わないことも多々あります。NCL遠野という何かしらの共通のビジョンに集まったメンバーとは言え、価値観が違うのは当然です。いかに相手と向き合い、対話し、方向性を見出すかが試される毎日です。

また、月に一度、ラボメンバーや事務局メンバー、自治体の方も集まってオープンラボという場が開かれます。プロジェクトの進捗報告だけでなく、事務局定例ミーティングのようにテーマを設けてディスカッションしたり、メンバーが講師となって勉強会を実施したり、それぞれの人生の過去や未来について話したうえで、NCL遠野がどうあるべきかを議論し合ったり、BBQをしたり。

NCL自体は事務局がラボメンバーのサポートをするという構造ですが、オープンラボに関しては立場関係なく、その時に動けるメンバーがオープンラボの企画をするようになりました。先月はなんと合唱をしました。意味のなさげなものから意味あるものが生まれることを実感しました。

06『地域への浸透』

NCL遠野は全国NCLで一番最初に立ち上がったこともあり、馬力のある人が多いです。プロジェクトを進めるだけではなく、地域に入り込んでいろんなことをしています。
例えば、自分たちで豚を飼ったり、古民家をリノベーションしてシェアハウスにしたり、祭に参加したり、結婚式を挙げたり、高校生のためのプログラムをつくったり。プロジェクトに関わらず、地域で何か叶えたいことがあったら何でも実現でるんじゃないかと思えてきます。地域の人も快く助けてくれます。こんな泥臭い挑戦から地域の人との関係もつくられていきます。いま思うとその泥臭さが楽しかったなあと思います。

 

07『遠野の暮らし』

まず自然が豊かです。宮崎県の田舎生まれの私でさえ、遠野の季節ごとの景色に感動していました。特に長い冬を芽吹いてくる緑の鮮やかさにはずっと見とれていました。鹿や熊も身近なところで生きています。動物と目が合うとふしぎな気持ちになります。

街中には、豆腐屋さんや精肉店、金物店・精米所・神社など、暮らしに根付いた商店街があります。伝統や文化も暮らしに溶けて継承されています。

08『最後に』

NCL遠野のことを知るたびに、この取組みの考え方、実態というのが日々変化していることに気づきました。だからこそNCL遠野が何ものかということは誰にも定義できません。そんなNCLなので、ここに飛び込んでくることには不安も付きまとうかもしれませんが、自分たちで一から考えて、決断し、創っていくという、当たり前だけど当たり前じゃない毎日に、ワクワク感を感じることができるんじゃないかと思います。何よりここには愛すべき仲間がいます。たくさん。
NCLというパレットにはさまざまな色が存在していて、さらに日々刻々と変化しています。すべての色が混ざり合うと濁った色になるかと思いきや、なぜか不思議と調和していて、でも独立していて、まるで遠野の山の色のように思えてきます。ひと言で何色だって言えないんです。こんな不思議な取り組みだからこそ、NCLが何をしているのか、どこを目指しているのかがうまく伝わらないように思います。今回、NCLメンバーでもなく、部外者でもない私がNCL遠野の様子をレポートすることで、少しでも気配が伝わったらいいなと思っています。
NCLはこれからも明確な定義はできぬまま、変化し続けるんじゃないかと思います。ただ、何色が混じったとしても、その都度、美しい色の調和がパレット上には存在するんじゃないかと思います。今、NCL遠野の事務局メンバーを募集しています。NCL遠野のより面白い化学反応を起こす立場として、遠野から全国に広がるNCLを先導する立場として、ぜひ応募してみてください!
以上、NCL初のインターン、ヨーナでした!

 

ヨーナ(井上洋菜)
福岡の大学3年生。スリランカのムスリムコミュニティの訪問をきっかけに「地域」に関心を持つようになり、地元にある森小屋のコミュニティに関わるようになる。地域課題の解決方法を模索する中、Next Commons Labの取り組みを知る。その後説明会に乗り込み、インターンシップの受け入れを懇願する。宮崎県出身。